眠り

老人病研究所

  • |HAKUJIKAI Institute of Gerontology|

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「眠り」

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文章を入力します眠りとリズム

|リズムに乗ろう|

 リズムに乗る、といってもダンスの上手下手ではありません。私達の身体の中にある自然のリズムのことです。これをサーカディアンリズムと言います。24時間プラス?の内で変動する身体のリズムのことを言います。例えば睡眠。自然と朝になると眼が覚めるということもこのサーカディアンリズムのお蔭です。自律神経やホルモンの分泌で調節されています。更にこのリズムは一週間、一カ月、一年という周期のリズムが考えられます。女性の生理は28日周期ですね。加齢や病気、ストレスなどでこのサーカディアンリズムの変調が生じます。


|朝が移動する|

「それでも地球は動いている」といったのはガリレオでした。「朝が移動する」とは昨日は7時に起きれたにの今日は8時にしか起きれない、そして明日は9時になっても起きれない人がいます。朝が移動してしまうのです。27歳になる会社員のAさんは朝10時になっても起きられず、会社に遅刻してしまい、上司から「たるんでいる」と注意され自分でもかなり悩んで外来に相談に来ました。これは睡眠相後移動症候群といって最近話題になってきました。いくら目覚まし時計をセットしても起きられない、これは深刻な状況と言えます。私達のリズムは1日が24時間で調節されているのではなく実は25時間だったことからこの悲劇が始まったのです。普通に同じ時刻に起きれることは本来25時間周期なのを24時間周期に自動的に修正をしてくれていたからなのです。Aさんの場合はこの自動修正が効かなくなったと言えます。身体の中のリズムを調節する時計が狂ってしまったからです。


|眠気を調節するホルモン|

 25時間周期をうまく24時間周期に調節してくれる遺伝子が見つかってきました。ずばりクロック遺伝子と名付けられました。この遺伝子は光と闇の刺激に反応しあるホルモンを活性化させます。ちょうど頭の中心に位置するところに松果体という小さな臓器があります。ここからでるホルモンが眠気と覚醒を調節していたのです。メラトニンと言います。ですからうまくメラトニンを出させて脳を休ませ元に戻すようにすればいいのです。


|時差ぼけ対処法(朝の光の効果)|

 外国への旅行は楽しいのですがその後の時差ぼけで悩む人も多いはずです。いわゆる時差ぼけはこの眠りと覚醒のリズムの人工的な狂わせから生じてくるのです。
 どうすれば時差ぼけを治す事が出るのでしょうか。機内で眠らずに頑張って一気に貯めておいてから眠ると言う人もいます。実用的なのは朝に約30分日の光を浴びるのも効果的です。松果体にある生物時計を刺激して眠気を抑え元に正す事が出来ます。診療としては10000ルクスという強い光が出る部屋に入り人工的に光を浴びさせる治療があります。うつ病にも効果がああるとされています。現在ではメラトニンの錠剤が出来ておりますので危ないと思ったら寝る前に飲むのもいいでしょう。私の時差ぼけ予防法は2度眠る事にしています。飛行機内で映画を見ないようにして日本時間で眠り、当地の時間で眠る様にします。アルコールと安定剤の助けを借りますがこれでかなり時差ぼけは解消できました。